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ブレードランナーに出てきそうな、カオスなビルのオアシス銭湯、松乃湯(富山県高岡市末広町12-22)にいってきました。

2014年3月に、まるで寺院かと思わせる堂々とした風貌の老舗銭湯、富山市の観音湯さんが廃業され、
翌2015年3月には、これまた味のある激渋老舗銭湯、富山県射水市の荒屋鉱泉さんが廃業され、
高岡市伏木の不動湯は、いつの間コンビニになっていました。

「そうだ銭湯に行こう。」
「まあまあ、また今度でえぇか」なんて思ってると入れなくなる。

何故か急に岩おこしのごとく決心を固めて。

以前からその外観がとてつもなく気になっていて、
入口の古めかしい(この建物の中では新しい)普通のアルミサッシの奥に掛けられて、
決して表には出てこない暖簾の奥にはどんなパラレルワールドが待ち受けているのか、


「のぞいてみたい」とスケベ心にも似た好奇心に衝き動かされて、
小雪の交じる冷たい雨の中を富山県高岡駅横の高岡市営中央駐車場に降り立ちました。

ここの駐車券は向かいの真新しいとても立派なビル、ウィングウィング高岡内の図書館を利用すれば1時間無料となりますのでまずは図書館へ向かいます。
ペラペラとバカボンドを読んで窓口横の駐車料金割引機へ駐車券を差し込んで手続完了。

今日の目的地カオスなビル銭湯「松乃湯」へと向かいます。

高岡駅を含めた駅周辺は、駅を始め周辺の整備がほぼ終わり、
以前あった九龍城を思わせるあの怪しげな、いや味わいのあった駅前飲食店街もなくなり、
なんだかパリッとしたよそいきの町並みになってしましました。

しかしなんで高岡駅は高架駅にしなかったんだろうか、
とにかくアクセスが悪い。
そもそも人に優しい街づくりとは、人が地に足をつけて行き交える街なんだと思うのですが、
高岡駅は人が上がったり下がったりしないと行き来できない。

サンダーバードもしらさぎも金沢発着になってしまって、
優等列車がないのですから駅事態が完全にオーバスペックなんですよね。

もっと駅をコンパクトにして、駅前の遊休地を有効利用して利便性を高めることはできなかったんですかね。

まぁ富山県は概して車社会ですから、どこに行くのもドア・ツー・ドアで足腰が弱っているので、
高岡市とデザイナーの方々の優しい心遣いで弱った足腰を鍛え直して、ついでに福利厚生費用も安くあげようということなのでしょうね。

などとブツブツ文句をいいながら(いや実際は言ってませんから)

高岡駅を金沢方面に向かいサークルKのある交差点を右へ向かい、
暫く歩くとそこだけ一種異様な世界観をまとった「松の湯ビル」(こっちの表記はひらがなの「の」です。)が見えてきます。

千と千尋の湯屋が近代風に改装するとこうなるのではないかと思わせるビルです。

もともとのビルがどれで、どれが増築した部分なのかよくわかりませんが、
現代の耐震強度は絶対に満たしていないことは素人の私にでもわかる2つのビルをつなぐ渡り廊下。

壁面すれすれに建てられたのか、ビルが避けて建てられたのか、最早そんなことはどうでもよい年季の入った煙突。

よく見ると下がどこにも繋がっていないように見える、千尋がハクに教えられても絶対降りないであろう外階段。

小奇麗な駅前よりも、このビルに未来感をより感じるのは、私の感性がリドリー・スコットの「ブレードランナー」によって歪められているからなのでしょうか?
北野武やリドリー・スコットが見たら、きっとロケに使いたくなるような(勝手な思い込みです)インパクトがあります。

大通りに回ると「松の湯ビル入口」の看板がありますが中は備品で埋められています。

目指す「松乃湯」の入口はここではありません。
看板の横には、昔飲食店があった面影があり、大きな換気ダクトが3つも取り付けられています。

大通りから脇道に入るとビルの正面に出ます。


前の道は4mあるかなしの狭い生活道路です、決して車で横付けしようなどと考えてはいけません。

ここから見上げると、ビルをつなぐ渡り廊下がはっきりと見てとれますね。


壁の色が違うところを見ると後から廊下を増設したのでしょうか、ある意味素晴らしい建築技術ですね、その度胸に感心させられます。

前の道が狭いので全景を撮りたいのですが、これが限界です。

以前に撮った写真がこれです、壁面にタイルが貼られている部分が銭湯スペースです。

入口が二箇所あるので、どちらから入ったらいいのか迷っていると、
たまたまご来店になられたご婦人に教えてもらい入ることができました。
向かって右が女湯で左が男湯ですが、中に入るとつながっています。

元々はここに番台があったのかもしれませんね、
券売機で入浴券を買ってフロントに渡します、誰も居ない時にはフロントのカウンターに置いておけば良いようです。


ちなみに券売機は千円札も使えます。(千円以外の高額紙幣は使えません)。

ロビースペースも脱衣場も清潔に清掃されていて、雑誌類も几帳面すぎるほどきっちりと揃えられていました。
奥の本棚にはバカボンドもありました。(これ私的にはポイント高いです。)

とにかく何もかもがきっちりと置おかれています。
椅子もテーブルも

ロッカーの上のカゴも

整理整頓とはこうあるべきを体現している隙の無さです。

男風呂には他のお客さんがおられなかったので、写真を取らせていただきました。

浴室はカランのついた2つの島と壁面には、ホースの付いた自在式シャワーも備えられています。

浴槽は3つに仕切られており、薬草風呂(この日はよもぎ湯)、白湯、水風呂となっておりました。

奥に見える扉が多分サウナ?ではないかと・・・(未確認)

白湯の浴槽には人魚の像が据えられています、もしかして高岡の伝統工芸品の高岡銅器なのかな?

湯は42度位の少し熱めの良い湯です、あがったあと指先がツルツルしていました。

壁や天井は年季が入っていますが、清掃がゆきとどいていてとても清潔です。

明かり取りの窓も沢山あるので、非常に明るい浴室です。

ラジウム鉱石なるものが沈められていました。

こんな貼り紙もありました。


ちなみに吹き出しの「湯冷めせんちゃ~」「最高やちゃ~」は別にたむらけんじのネタではありません富山弁です。

こじんまりとした、温かい湯でほっこりとしてきました。

外観はインパクト大でしたが、中は意外に(失礼)きれいで、すっかり落ち着いてしまいました。
ただし、ロビーに灰皿がで~んと置かれていたので、風呂あがりに煙草の煙でいぶされる、銭湯あるあるを体感できるかもしれませんね。

子供が大きくなり一人で風呂が楽しめるようになると、
露天風呂やアメニティがなくても温泉でなくても、
「これでいいのだ」とバカボンのパパの口調を真似て心から言えるようになってきましたね。

松乃湯
富山県高岡市末広町12-22
定休日 4,14,24日
営業時間 11:00~23:30

詳しい営業内容などは寄り湯ドットコムにて
寄り湯どっとこむ - 松乃湯(富山県)

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