床鍋鉱泉(富山県氷見市床鍋)は2019年10月31日に閉館となりました。
ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉でトロトロのアルカリ性の、非常に珍しいお湯に入れなくなったのは残念です。
今シーズン最後と思われるスキーを楽しんできたのだが、春スキー独特の、重いざわざわの雪とアイスバーンにコテンパンにされて、体中筋肉痛でなんだかジャイアントロボのような歩き方になってしまった。
こんな時は、温泉で体をほぐそうということで、雪があるうちは絶対に近寄りたくない山中の温泉、床鍋鉱泉(とこなべこうせん:富山県氷見市)に行ってきました。
富山県氷見市といえばブリやカニをはじめとする海産物が有名で、海の街というイメージが強いのですが、山側も奥深く何度行っても迷いそうなワインディングロードが続いています。
ここ床鍋鉱泉も石川県との県境に近いところにあり、古くは大伴家持が能登に向かうのに、ここから県境にある臼ヶ峰を越えたと伝えられています。
今も床鍋鉱泉の玄関先には、臼ヶ峰に向かう人のために杖が沢山用意されていました。
建物の外観は、私好みの増築を繰り返して、なんともワクワクさせる外観です。屋根が片流れになっていて、雪が裏の小川に落ちるように工夫されているところは、さすが雪国です。
金文字で「床鍋鉱泉」と書かれた昭和チックなドアを開けると、「ピンポ~ン」と赤外線センサーが来客を知らせます。
お母さんがやってきて、入浴料500円を払います。
掃除が行き届いていて内装のやれた雰囲気とともに、実家に戻ったかのような懐かしいデジャブが襲ってきます。
まだまだ寒いので、右側の休憩室にも間仕切りのガラス戸が入れられていました。
壁のポスターの量が増えている様な気がするのですが、きっと捨てたり剥がしたりができずに新たに貼っていくのでしょう。
わかります、うちの実家もそうです、未だに小学校の林間学習で買ってきた、「根性」と書かれた石のオブジェが飾られていますから。
テレビが薄型になって、テレビの上というカオス小物ワンダーランドが無くなった今、老人の一人暮らしの家になぜこんなにも沢山のタンスが必要なのかと思われるタンスの上に置かれたガラスケースが、以前にもましてカオス化しており、北海道の木彫りの熊やら武者小路実篤のなすびときゅうりの絵やら、マルサンの初代ウルトラマンのソフビ人形まで、ためにためまくった雑貨が所狭しとつめ込まれています。たぶん、タンスの衣類やガラスケースの雑貨と一緒に、思い出もためてあるのではないでしょうか。
そんなロビーを後にして玄関から左に向かうと、またまた昭和チックな「タオル」と書かれた(白黒テレビの時代に良く見たフォント)タオルと石鹸の自動販売機です
今も現役なんでしょうか?
タオルは200円、牛乳石鹸の青箱は100円でした。
帰りにロビー横の自販機でジュースを買おうとしましたが、お金を入れると沢山の種類の飲料のうち3~4種類のランプしかつかずそのうちのコーラが売り切れという始末で、黙って返金レバーを押し下げました、お金はしっかりと戻ってきましたからよしとしましょう。
脱衣場には棚しかなくロッカー等はありませんので、貴重品はフロントに預けたほうがよいでしょう。
ここも綺麗に清掃されています、マット類もきっちりと置かれています。
懐かしい体重計があります。常連さんのものと思われる、入浴セットも置かれていて地元の方に大切にされているお風呂だとわかりますね。
温泉分析表もしっかりと掲示されています。
加水なし循環消毒ありの、ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉(低張性アルカリ性冷鉱泉)です。
お待ちかねの浴室です、窓が大きくて明るいです。
浴槽の湯口は水中にあるのに、水の流れる音がするので、どこからお湯が注がれているのかと思ったら。
窓から見える小庭には滝が流れていて、その流れる音が浴室内に響いていました。趣があってよろしいね~。
お湯はなんともとろみのある、アルカリ性の美人の湯ですね。
湯温も熱すぎない40度ちょっとくらいの適温です。
窓の外の小庭を眺めながら、ゆったりとお湯にまかせて力を抜くと、春の雪にやられた体がどんどんほぐれていきます。
ケロリン桶も・・・
少々元気の無いシャワーも・・・
歴史のこもった天井も・・・
このお湯に浸かっていると、みんな愛しく思えてしまいます・・・。
灰皿の上に無造作に吊り下げられたドライヤーもご愛嬌ということで。
良いお湯を堪能させていただきました。
植木に占領されて本来の役割を失った、小洒落た電話ボックス。
お湯と昭和を堪能しました~。
帰り道から床鍋鉱泉を撮ってみました。
はい、本当に山の中です。
ズームしますよ・・・
わかりますか?
僅かに「床鍋鉱泉」の看板が見えます。
近くで見るとこんな感じです。
この看板は以前来たときにとったもので草木の緑も強烈でした。
帰り道には、イノシシか熊の捕獲用の檻が置かれていました。
ちょっと寄り道をしてカーナビに出ていて、以前から気なっていた「桑院鉱泉」に寄ってみました。
源泉は小屋に引かれていました。
飲泉はできませんが、手を洗うとはっきりと分かる、アルカリ性のぬるぬる鉱泉でした。
山間のひっそりと湧く鉱泉が、地元の人達の手で大事に守られていました。
鉄泉で有名な神代温泉にも寄れます。
今回は「床鍋鉱泉」があまりにも気持ちよかったので入浴せずに帰ります。
次は必ず寄らせていただきます。
少し戻って旧道を高岡方面に向かいますと、ここにも魅力的な温泉があります。
ジャズの流れる温泉銭湯「高岡岩坪温泉 凧」です。
改装されてからは来ていないのですが、建物も増築されているようですね。
大好きなウィルキンソンのジンジャーエールが、風呂あがりに飲めるなんとも贅沢な銭湯です。
駐車場には沢山の車がとまっていました、次は必ず寄らせていただきます。
氷見山側高岡温泉道の旅でした(勝手につけています)。
床鍋鉱泉(とこなべこうせん)
富山県氷見市床鍋
定休日 毎月最終月曜
営業時間 13:00~21:00 土日は9:00から
詳しい営業内容などは寄り湯ドットコムにて
寄り湯どっとこむ - 床鍋鉱泉(富山県)
神代温泉(こうじろおんせん)
富山県氷見市神代3021
定休日 不定休
営業時間 10:00~21:00
詳しい営業内容などは寄り湯ドットコムにて
寄り湯どっとこむ – 神代温泉(富山県)
高岡岩坪温泉 凧
富山県高岡市岩坪93
定休日 月曜・第1火曜
営業時間 14:00~22:00(最終受付21:30)