生まれ育った関西を離れて早20年が過ぎて、昨年大阪に独り住んでいた母も高齢のため大阪を離れ、関西方面から足も遠のき始めました。
息子たちもおおきくなり、親と遠出する機会もめっきりと減り、一人で奈良にある墓に参りました。
お盆の時期もはずれて人もまばらな静かな墓地は、父の思い出と会話をするのには良い時間でした。
父と共に、子供の私が墓地を訪れたときから、数十年の月日が経ち、父が死に小さな息子たちを連れて何度も来た場所。
「あぁ、お墓とは時間と場所を、家族で共有する場所なんだ。」とやっと気づいた今日このごろです。
異常すぎる暑さの続いた夏も、少し早い台風のお陰で、季節が少し移ろい。
時折吹く強い風の中に、秋の訪れを感じさせます。
いつもの年なら、墓参りのあとは実家に戻り、大阪独特のネットリとする蒸し暑さの中、なにをするでもなく関西ローカルの番組を見ながら、何をそんなに詰め込んであるかわからないが、詰め込みすぎてあんまり冷えない冷蔵庫で冷やした、中途半端に冷たい缶ビールを不機嫌に流し込むのが義務のように何年も続けてきた帰省という行事なのだが、もうその帰る家もなくなってしまった。
今考えると、何であんなに不機嫌な顔ばかりしてたんだろうか。
まあ、あまり親と一緒に食事しながらヘラヘラしているのも変であるので、何も気を使わない素の自分だったのかもしれない。
息子たちがいると急かされて、墓の掃除を終わるとさっさと帰るのだが、ひとりきりなのでゆっくりと時間を使って、なんとなく「あと何回来れるのかな。」などと思いながら車に戻り、地図アプリで見つけた温泉になんとなく行ってみることにしました。
奈良県と大阪府の県境にそびえる、生駒山の奈良県側に位置する奈良県生駒市。
聖徳太子が建立したことで有名な、法隆寺から30~40分のところにあるのが、「音の花温泉」です。
車の免許をとったばかりの頃(35年以上前)は、夜は街灯もない細い国道168号線でしたが、いつのまにやらバイパスができて、アチラコチラにニュータウンができて、なんだか明るい町並みになっています。
バイパス沿いを走れば、案内の看板ぐらいはあるだろうと思っていたのですが、見落としたのか、全く見当たりませんでした。
近鉄生駒線「東山」駅前の交差点(目印は「コメリ平群店」・「ファミリーマート近鉄東山駅前店」)を、生駒山方面へ曲がって橋を渡ってすぐ右側に、カーブに隠れるように入口がありました。
道を隔てて、第二駐車場もありましたので、それなりの混雑があるのでしょう。
平屋建ての建物の入口の脇には、活魚の生簀や地物らしき生鮮食品も販売されていました。
冷房の効いた館内に入ると、古びた靴ロッカーが並んでいます。
ロッカーに靴を入れて、券売機で大人800円の入浴券を購入して、靴ロッカーの鍵と一緒に入浴券を、パックに入った切り身の焼き魚や惣菜が並べられた雑然とした受付に出すと、脱衣室のロッカーの鍵を渡されます。
こういった施設によく見られる、注意書きなどを沢山貼ってある、張り紙系施設とは違い、張り紙やら雑然としているのは、受付と食堂の券売機付近のみです。
張り紙や余計な案内のない、ロビーを抜けると浴室につながる廊下へと進みます。
2004年7月オープンにしては、非常に綺麗な廊下です。
脱衣場のロッカーは、扉や外側は塗り直されているようですが、内側は多分当時のままで塗装のハゲなどがみられます。
脱衣場にはウォータークーラーが設置されて、水分補給もできるようになっています。
浴室は、広大な内風呂と露天風呂とジャグジー・サウナ・水風呂で構成されています。
内風呂はヌメリのあるしっとりとしたお湯です、ナトリウム系の温泉にあるキシキシ感はありません。
露天風呂は広大ですが浅い造りになっっていて、大人の膝下くらいの深さで湯温もぬるめです。
(まだ早い時間だったため、充分に湯が溜まっていなかったのかもしれません。)
露天風呂からは貯湯槽が見えて、そちら側からお湯が流れてきているのですが、そのお湯が内湯に比べてヌルつきが少なくややキシキシしていました。
もしかしたら、鮮度が良いときにはナトリウム系のキシキシしていて、時間が経つとアルカリ系のヌルヌルが多くなるのかもしれません。
入浴料は800円ですが、シャンプー石鹸類は備え付けられていません。
昼間の明るい時間だったからなのか、浴室の照明は消えていたので、少し暗い印象でした。
外が明るいと照明を落としたくなるのはわかるのですが、この施設のように、広大な露天風呂に向かって大きな窓がとってあり、しかも露天風呂が北東に向いているので、大きな窓からは採光が期待できないので、明るい露天風呂とのコントラストが大きすぎて内風呂の暗さが強調されるので、是非とも照明は付けておいたほうが明るくてよいと思うのですが。
食堂では、奈良県とは思えない海鮮オシのメニューでした。
ロビーの隅には、喫煙コーナーが設けられていましたが、ここでタバコを吸われたら、湯上がりにタバコ臭くなるような、今どきとしては簡素な作りの喫煙コーナーでした。
温泉分析表からは、湧出量がわからないので何ともいえないのですが、あれだけ広大な内湯と露天風呂を賄うには相当量の湯量が必要だと思われます。
それを賄うだけの充分な湧出量があるのかちょっと疑問に思われました。
これだけ広大な露天風呂ともなると、たぶんメンテナンスの手間を少なくするために、苔などの発生を抑えるため露天風呂全面が屋根付きとなっていて、広々とした開放感にかけるのは残念でした。
また、川向かいの山の中腹に建つマンションなどから、もしかしたら露天風呂が見えてしまうのではとの心配もありました。
温泉施設の少ない奈良市近郊としては、ヌルヌル感を味わえる貴重な温泉ではありますね。
露天風呂の巨石などの造形は非常に素晴らしいものでした。
広い風呂に浸かって、心をリラックスさせるのも、温泉の楽しみ方のひとつですから。
ここはひとつ、天理のスタミナラーメンで勢いを付けて、帰りの運転もシャキッとさせるか。
寄り湯どっとこむ – 音の花温泉(奈良県)